'08 今年もまた、大本流から サクラマス 62cm!
猫田 寅吉 (ねこたとらきち) 山形県在住 Torakichi Nekota in Yamagata 【Japan】
フライフィッシング歴28年 / サクラマス歴19年 / リリカルアングラーズ・メンバー
シーズン初物は大本流の怪しいポイントで。フライはブラック・グリーンのオリジナル。
MY TROPHY | MY RECORD |
魚種 Species |
サクラマス Cherry Salmon |
体長 Length |
62cm |
体重 Weight |
計測せず |
フライ Fly & Hook Size |
バスタードシープ・ブラックとグリーンウイングのツートンフライ (オリジナル) on GT1/4+PT 1/4in with #4Treble Hook
|
ロッド Rod |
KS AR LANDLOCK |
リール Reel |
KS SU SALMON I The 30th Anniversary |
釣った日 Date of Catch |
2008/03/30 |
釣った場所 Place of Catch |
in the River MO KAMUI |
IMPRESSIONS
なんとなく思えば、サクラマスの釣りは私の場合かなり苦労している。
おそらく私は魚を釣るのが上手い釣り人だとはいえない。しかし、やっぱりサクラマス釣りは釣ったときの釣りの充実感はものすごい大きなものがある。だから苦労をしながらやっているというのが今の自分なのだろう・・。
釣れた数は、決して釣行回数になんか見合っていない。なん匹か釣って、なんか自分でわかった風に思えてきても、だからといって、バンバン釣れるようには一向にならない。というのに、忘れた頃に釣れてくる。するとやっぱり私も少しは、釣れる釣り人に近づいたかな・・、なんて思ったりするのであった。
そんな大変な私の釣りだからこそ、いつもドラマがある。この釣りの仲間がいて、仲間と励ましあい、時には切磋琢磨の境地でこの釣りをずっとやっている。仲間とのサクラマス釣りはなくてはならないくらいにつながっていて、そのおかげで、私にも釣れるんだろうなと思えるのである。
この日、釣ったのは川底に沈んでいた木の枝とか、穴のある石とか農業用マルチ(ビニール)の切れ端とか、そんなのばっかりだった。少し大本流の水位が下がったので期待してきてみたが、流れの緩いところには沢山のごみが沈殿している証拠を見せつけられてしまった。
朝からいつものポイントで、ブラックとグリーンのバスタードシープを使って作ったフライを流していた。これは、昨年今頃、私たちクラブの栃木県のメンバー、福田龍也氏に言われたことを思い出して作ったパターンだ。福田氏は去年の今頃、「地味なフライで来ました。なんか、今からはここも、地味なフライの方がいいんじゃないですか?」と言ったのだった。
福田氏は昨年ある場所でトータル3匹のサクラマスを釣っている。私たちはそのポイントを通称福田ポイントと言っている。今年も福田氏は、すでにそのポイントで1匹獲っているのであった。
これまで私の初期の当たりフライ、オレンジ系を止め、ブラック・グリンーのフライを使うことにした。流木やごみを釣りながらやっていたら、3本しかないこのフライがすべてなくなってしまった。ところが、たまたま、私の釣友附田氏が、ネガカリしてなくしたばかりのそのフライを、次のネガカリで引いてきた流木から回収してくれたのである。「それは私が今ネガカリで盗られたばかりのフライだから、私にくれてくれ。」と言って、たった一つそのフライは残ったのである。
私は附田氏に言った「福田さんポイントが気になる。私はそこに行く。」
平水ならそこは、SS1712Dでオーバーヘッドのスタンダードキャストで十分釣りができるポイントだが、今冬の降雪で、川は早期からハイウオーターになってしまって、ポイントの岸辺に立つことさえ出来ない状況が続いていた。しかしこの日、何週間ぶりで水位が少し下がった。けれどもフライを遠くに飛ばすためにはバックスペースがまだまだ確保できない状態であった。
岸辺ぎりぎりからショートヘッドのアンダーハンドキャストでやろう・・。それしか策が思い浮かばなかった。レフトハンドアッパーグリップでのシングルスペイキャストが流暢に出来れば問題ないポイントだが、私にはそのキャステングはまだまだ未熟であった。ショートヘッドをリバースしてラインを放るしかない私であった。
スペースは狭い。ロッドは短い方がいい。私のレギュラーロッド・ゴールウエィ+ミッドベリーのセッティングでは狭い空間では不自由だと思い、11Mのショートヘッドをセットしていたランドロックを持ち出し、岸辺のない、通称福田ポイントに向かった。フライは、ラッキーにも回収したブラック・グリーンのチューブフライ。
下流に向かって左岸、リバーススペイキャストの要領でフライをキャストし始めた。5投目、底を釣った気がした。「またぁ、ごみか?木か?」しかし、流木と思しきものは、なんか私のほうに自分から動いているような気がした。「さかなか?」「私の得意のニゴイをつったか?」と、頭の中はグリグリした。
ところが、それは水面近くに浮上。私のランドロックをしならせているものが、銀色の腹を見せたのである。
「ややや、これはサクラマスだ」と、私はようやく気づき、一気に緊張した。しかし、その間、ロッドをキューっと絞り、フックアップは完全にしたつもりだったし、これまで何もミスはしていないと思えたから、魚の動きには冷静に対応できた。
私はローリングさせるようなファイトはしなかったつもりだったが、岸に寄ってきたその魚は、体にラインの巻き痕が痛々しかった。その上、反対側の口元には生々しい傷があった。私のフライは口の中にあったことから、一度、ルアーの釣り人が、バラした魚だったと思った。
岸辺に寄せてから二度ほど沖に向かってラインを引き出されたが、サクラマスはランドロックに岸に引き戻されたのであった。
ブラック・グリーンのフライといい、福田龍也氏が掘り出したと言っていいポイントといい、仲間がいなければ出会えなかった一匹。・・と、このサクラマスを釣って思った。