'00 ミレニアムのトロフィー! サクラマス 62cm, 3.2kg!
木下 正俊 (きのしたまさとし) 東京都在住 Masatoshi Kinoshita in Tokyo 【Japan】
フライフィッシング歴3年 / サクラマス歴3年
MY TROPHY | MY RECORD |
魚種 Species |
サクラマス Cherry Salmon |
体長 Length |
62cm |
体重 Weight |
3.2kg |
フライ Fly & Hook Size |
ブラックフェアリーon WS 35mm with #4 hook
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ロッド Rod |
KS SS 1712D Millenium Green |
リール Reel |
KS SU SALMON II The Cherry Salmon |
釣った日 Date of Catch |
2000/02/17 午後3時30分 |
釣った場所 Place of Catch |
九頭竜川 |
IMPRESSIONS
Black Fairy Waddington 35mm #4
その日、九頭竜川は朝から吹雪に見舞われ、川に入った時には雹まじりの雪が吹き荒れていた。こんな悪天候だったが、釣りを止めて帰ろうとは少しも思わなかった。
吹雪の中、プールの右岸からキャスティングを開始した。水量は雪代前で少なく、川底はぬるぬるして滑りやすかった。何投目だったか、シュートした後にロッドを自分の左側に持ち上げた瞬間、不覚にもそのまま転倒。水温は4度。気合いが入っていなかったらとても耐えられるものではなかっただろう。それでも午前中は濡れたまま釣りを続けた。状況はあまり芳しくないようで、戻ってきた友人とともに車に引き返し、とりあえず洋服を乾かして出直すことになった。
さすがに戦意喪失状態である。が、幸運にも悪天候のおかげで、他の釣り人がめげてみんな引き上げてしまっている。午前中は人がいて入れなかったプールにも、今は誰もいない。チャンスとばかり、友人たちは川に入った。いつもは私が一番先に川に入るのだが、この時は転倒のショックが尾を引いて一番最後になった。
瀬の頭に立って、友人が釣り下るのを待つ間、どのフライにしようかとあれこれ結んでは換えていた。アクアマリン、スティングレイ、ブラックフェアリー…。川に入る時はちょうどブラックフェアリーが巡ってきたのでそのまま釣り始めることにした。
初めての1匹は62cmのブライト・シルバー!
瀬の頭から入って3歩くらい釣り下ったと思う。対岸のテトラ沿いに流れている流芯めがけ、ほぼ真横にキャスト。キャスティングの調子も良く、着水してからのフライの流れ方がいつになくゆっくりと感じられた。フライが流れに馴染んでからゆるいリトリーブを開始。2回目、コーンという軽いアタリが来た。初めてだったので、まずは根がかりのつもりでゆっくりとロッドを上げてみた。するとラインの先でグングンと何かが頭を振るような振動が伝わって来た。これは間違いなくサクラマスだとその時わかった。
やりとりに関してはずいぶんとシミュレーションを行っていたせいか、自分でも感心するほど冷静だった。無理をせずに少しずつプレッシャーをかけ続けて、10分くらいたったと思う。岸近くまで寄せてきたサクラマスをそのまま河原に引きずり上げた。冷静ではあったが、その瞬間、足が震えていたのを覚えている。
足下に横たわったブライト・シルバーの魚体は62cm、3.2kg。トレブルフックの2本がコーナーをがっちりとらえている。フッキングも大成功だったようだ。今世紀最後の年、そしてミレニアム、しかも転倒のおまけまで付いてようやく手にしたサクラマス。どこか不思議な達成感があった。
その日の釣りを終えようとして、ふと空を見上げると午前中の吹雪がうそのように晴れ上がり、綺麗な夕焼けが空を覆っていた。そう言えばその日、初めて周りの景色に目をやったような気がする。
こんな魚が川に上がってくること自体、本当に異次元の出来事のように思える。その1匹をこの手で釣った瞬間に、ようやく始まったなという手応えを感じた。やはり、この釣りはやめられません。この幸運とお世話になったたくさんの人たちに感謝!