'00 リバー・ガウラで遂に釣った Atlantic Salmon 1.0m, 10kg!
江上 輝 (えがみあきら) 東京都在住 Akira Egami in Tokyo 【Japan】
フライフィッシング歴24年 / サクラマス歴3年
MY TROPHY | MY RECORD |
魚種 Species |
Atlantic Salmon Salmo Salar |
体長 Length |
1.0m |
体重 Weight |
10kg |
フライ Fly & Hook Size |
Green Highlander low water pattern on SD1 Double Low Water #6
|
ロッド Rod |
KS SS 1712D |
リール Reel |
KS SU SALMON II Silver |
釣った日 Date of Catch |
2000/07/18 |
釣った場所 Place of Catch |
in the River Gaula, Maela Glide |
IMPRESSIONS
Green Highlander low water pattern on SD1 Double Low Water #6
Tag: Silver tinsel
Tail: Golden pheasant topping and wood duck
Body: Yellow floss then green floss
Wing: Brown hair over yellow over orange-dyed squirrel
Hackle: Green cock under yellow
Cheeks: Golden-pheasant red breast feather
Maela Glideを一度釣り下り、二流し目に入る時だった、ふと流れに目をやるとなぜかローウォーターパターンが使いたくなった。このときのために巻いたフライの中からグリーンとイエローのハックルが映えるグリーン・ハイランダーを取り出した。
こんな小さなフライにサーモンが興味を示すのか不安であったが、慎重にそして神経を集中して釣り下った。このプールが終わろうとする数メートル手前で今まで釣り上げた魚と違う、静かなあたりがロッドに伝わってきた。フライが小さいせいか、神経を集中していたので、静かにそして力強くフッキングすることができた。その次の瞬間、今までに釣ったサーモンとは全く違うのを感じた。
岩のように動かない魚
サーモンは静かに下り始め、20メートルほど下流のHome Poolの瀬の中で止まった。魚に合わせて下り、サイドから引いたが、ほんの少し上流に動くだけであった。その後何度もポンピングしたが、サーモンは岩のように動かなくなってしまった。ギリーのカールはしきりに魚を休ませるなとドイツ訛りの英語で「ポンピングアップ、ポンピングアップ」とまくし立てていた。しかしサーモンはいっこうに動こうとはしない。
カールは持久戦と決めたのか、私の横でなにやら昔掛けた巨大なサーモンの話やら、友達が1時間の持久戦の末、100メートル走られてばらした話などをし始めた。対岸には同じホテルに泊まっているフライフィッシャーがHome Poolを釣るために川に降りてきた。私のロッドが弓なりなのをみてなにやら騒いでいる様子である。そうこうするうちに30分以上が過ぎた。小雨が降り始め、すべるグリップを持つ左手がしびれ始めてきた。
宣戦布告
カールがもっと力を入れて引けとまた激しくまくし立て始めた。ラインが流れを切り裂く音だけが聞こえ、まるで根掛りしたような状態に、どうやら焦っている様子である。そしてラインの先にサーモンがいることを確かめるように強くサイド斜め下流側にポンピングした。ひたすら小さなダブルフックが外れないことを祈りながら続けた。
我々の願いが通じたのか流れを切り裂くラインが上流に移動し始めた。そしてフッキングしたあたりで止まった。もう休ませてなるものかと、さらに激しくポンピングした。そして次の瞬間、ラインは軽くなりだらりと垂れ下がってしまった。私はカールに全てが終わってしまったことを告げるために手を上げて見せた。
カールは魚はどうしたと言わんばかりの顔でこちらを見ていた。私はだらりと垂れ下がったラインを巻き取るためにリールをまわし始めた。何の抵抗もなく巻き取られるラインに小さな異変を感じた次の瞬間、魚が上流側で激しくジャンプした。魚がこちら側にすばやく走り、反転して上流でジャンプしたのだ。
魚がまだフライをくわえていることに驚きながらも、ラインを程良いテンションに戻そうとした時、今度は下流に激しく下った。一挙に下り、岩の様に動かずにいた、あの下の瀬の中でまた止まった。今度は休む時間を与えてなるものかと、急いで下流にまわりサイドからプレッシャーを与えた。今度はすぐに反応して上流に走りだし、ジャンプし全身を我々の前にあらわにした。
カールと私は目を見合わせた。先ほどのジャンプが効いたのか、やっと岸に寄ってくるようになり、寄せては流心に走られを2度程繰り返した後に、カールがネットを構えながらこちらを振り向いた。魚がだいぶ弱ってきたことを教えてくれた。サーモンはまたもや走ったが、すぐ岸のほうに向きをかえ、カールの構えるネットにようやくおさまった。カールと大声を張り上げ、抱き合って喜びをわかちあった。
興奮がさめた後に、なぜこの魚があのようなファイトをしたのか、カールに聞いてみた。魚の大きさ以上のファイトだったと思ったからだ。カールも同じように思っていたらしく、不思議そうな顔をして「この魚は色からして一週間以上はここにいただろう、とても利口な魚なんだよこのサーモンは」と言った。
日本に帰り、お世話になった沢田さんのところに伺った時に「なかなかできない良い経験ができて良かった」と言って頂き、あらためてガウラでの経験が貴重なものであったことを実感した。アトランティックサーモンのファイトもすごかったが、あんなに小さな#6ダブルローウォーターフックが最後まではずれなかったのが驚きだった。
沢田さんが開発したタックルのバランスの良さに改めて感動した。それと同時に、一つの母体から生まれた道具というのはこれほどまでに見事なバランスでそれぞれの良さが調和するものかと驚かされた。
ガウラ行きに際しては、沢田さんに現地の状況を教えて頂いたり、フライなどのアドバイスを頂いたりと色々とお世話になり、良い経験ができ、この場をお借りしてお礼申し上げます。