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'03  3度目のガウラは終わりよければ Atlantic Salmon 87cm,  5.0kg!
藤原 吉和 (ふじわらよしかず) 群馬県在住  Yoshikazu Fujiwara in Gunma 【Japan】
フライフィッシング歴7年 / サクラマス歴6年 / サーモンフィッシング歴3年
Yoshikazu Fujiwara Salmo Salar
最終日に釣った5kg。一匹の重みに辛さも吹っ飛ぶ。フライはお気に入りのローズマリー・バリエーション。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species Atlantic Salmon Salmo Salar
体長 Length 87cm
体重 Weight 5.0kg
フライ Fly & Hook Size Rosemary Variation on Plastic Tube 1" with ST3 Tube Fly Treble #8
ロッド Rod KS SS 1712D Limited HARD ACTION
リール Reel KS SU SALMON II The Cherry Salmon Silver
フライライン Fly Line DST-12-S Intermediate
釣った日 Date of Catch 2003/06/30
釣った場所 Place of Catch Bridge Pool in the river GAULA
IMPRESSIONS

目標は10kg・・・

サーモンフィッシングでは0と1の差はあまりに大きい。
今回で3度目の釣行になるノルウェーのリバーガウラ。前回、前々回と幸運にもグリルスから8.7kgまでのサーモンを釣上げる事が出来、何と言っても今回釣行の目標は10kg 1mオーバーのサーモンをキャッチする事だった。

今ではすっかり恒例となった春の九頭竜通いも、昨年に引き続いての女神は微笑まず。悪友、いや釣友のTSに「ガウラに行けば日本での辛い日々も癒されるさ」などと、後にサクラマス延長戦に突入するとはこの時点では夢にも思わず、甘い考えのまま日本を発ったのだった。

道中ちょっとしたハプニングもあったが、無事ストーレンホテルに着くと今回のギリーのジョンとバレンティンが出迎えてくれた。状況を尋ねると、「このところ減水する一方だったが、2日前に降った雨で増水している最中だ。川の状況はいいのだけどサーモンが何時になっても来ない。でもこうしている今、サーモンが来るかもしれないから川に行くか?」とジョンが勧めてくれたが、長旅で疲れたのでとりあえず少し休む事にした。 

数時間の睡眠を取って準備を済ませ、ジョンとの約束の時間にロビーに下りていくと、沢田さんとマリーアンさんが出迎えてくれた。沢田さん夫妻によると、先々週は10kgを超えるサイズを筆頭に多くのサーモンをキャッチして良い状況だったが、先週は雨も降らずさっぱりだったとの事。しかし何時チャンスが訪れてもおかしくない状況なので、とにかく態勢を整えて頑張りなさい、と告げられると、日本に帰るべく空港に向けホテルから出て行かれた。

ノーフィッシュ

減水のブリッジプールで。

あまり良くない状況でのスタートではあったが、何時サーモンが来るかも知れない。こちらの方が川を留守にする時間をなるべく無くす様、自分のペースも考え、出来る限り川に立ち続けた。

数日間、ノーバイトノーフィッシュのまま、ただ時間だけが過ぎていった。期待いっぱいで癒されるはずのガウラの釣りもまさに日本のサクラマス、九頭竜川の延長戦に突入した気分だった。釣れない釣りは何時もの事とあまり悪いほうには考えずにいたが、だんだん集中力に欠けて来たのも事実であった。

そんな時に今回同行のTS氏があのブリッジプールでサーモンをキャッチし、その翌日の夜、自分が釣りをしている対岸のバンクでA氏が11kgのサーモンを、マダムの差し出すネットで無事キャッチされた。

その後、前回最大8.7kgのサーモンをキャッチしたレールウェイのバンクで釣りをしている時、目で見える程の表層をスイングしているフライにサーモンが水柱を上げ襲いかかったものの、フッキングにはいたらず。それが最終日までの唯一の当りになってしまった。

歓喜の最終日


いよいよ最終日、もうすでに23時間位寝ていない頭もボーっとしてきたが、時間がある限り頑張ろうと気合を入れ、今回最終のブリッジプールに立った。たいした雨も降らず、減水しつづけたブリッジプールの流れはまさにローウォーターで、しかも午後14時のドピーカン。こんな時は昼間寝て暗くなる夜に釣りをするのがセオリーだが、自分に残された時間はあとわずか。可能性ある限り釣りを続行するのみだった。
ギリーのジョンとブリッジをバックに記念撮影。

減水したブリッジプールのスタート地点は橋よりかなり上になっていた。フライを1インチのローズマリーとし、ラインはインターミディエイト、数回のキャストで対岸の大きな岩までフライが届きそうになった。ローウォーターとは言えプールの流れ出しの押しは強い。大きな石が沈んでいる為、水面は波打ってフライのスイングスピードもかなり早かった。その後キャストの後に三度ほど釣り下がって、対岸めがけて投げたフライが水面を割り、スイングし始めてすぐだった。ロッドをひったくられるような当りとともにシルバーチェリーのリールからラインが一気に引き出され、あっと言う間にフッキングが完了した。

橋の真下位の所で掛かったサーモンは一気に下流に走り、中程にあるすり鉢の溝の大岩の前で数回ジャンプして動かなくなった。やっとの思いで掛けたサーモンの割りには自分自身、不思議と落ち着いて対処でき、数分のファイトの後に尾鰭の付け根をつかんで無事ランディング。思わずそばに居たジョンに向かって「やった!これで日本に帰れる!!」と言って抱き合って喜び騒ぐ。対岸の大岩に乗って釣りをしていたフライマンや橋の上から見ていたギャラリーが口笛を鳴らし、手を降っている。彼らにサーモンを大きく掲げて見せた時、苦しんだ8日間の事も全て吹っ飛んでしまった。

今回目標だった10kg 1mのちょうど半分の5kgのサーモンだったが、シーライスいっぱいのベリーフレッシュなサーモンでした。

10kg 1mオーバーの夢は叶わなかったが、終わりよければ全てよしと浮かれて、また来年も必ずガウラに戻ると約束し、(もう周囲にはご存知の方も多いと思われますが)これ以降に訪れる人生最大数々のハプニングの事などこの時では知る術もなく、来期に向けて帰国の途に着いたのだった。

---つづく---