www.kensawada.com
'04  大河が目覚める頃 サクラマス 53cm!
猫田 寅吉 (ねこたとらきち) 山形県在住  Torakichi Nekota in Yamagata 【Japan】
フライフィッシング歴26年 / サクラマス歴16年
Torakichi Nekota Cherry Salmon
河の目覚めとともにやって来たフレッシュラン。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species サクラマス Cherry Salmon
体長 Length 53cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size グレイ・イーグル(1/4"ゴールドチューブ+1-1/2"プラスチックのハイブリットチューブ)
#4トレブルフックをフリーフックシステムで使用
ロッド Rod KS SS 1612D
リール Reel KS SU SALMON I Limited BURGUNDY
釣った日 Date of Catch 2004/03/20
釣った場所 Place of Catch In the River MO KAMUI
IMPRESSIONS

憶測

この日のためのハイウォーター用フライ。
ドラマは既に3日前から動いていた。

大河に遡上するチェリーサーモンの消息を追跡する流離。山形県のサクラマスの解禁と同時に私たちにとってそのことは始まっていた。

季節は冬から春に変わる。河は、不意に訪れる春の兆候に目覚める。雪が雨となった嵐の日に、冬期の減水から河は目覚め、ダブダブの流れになる。チェリーサーモンはそのダブダブの流れに浮き、河口から遡り始めるんじゃないか?

そんな風に思い始めた釣り人の憶測。そして、また冬が春に負けじと巻き返しに来たとき、河もまたおとなしさを取り戻す。そのとき、ダブダブのハイウオーターに乗って遡っていたチェリーサーモンたちも、急の減水に戸惑い、どこかにたじろぎ停泊するのではないか。その時がフィッシャーマンの狙い時ではないのか・・・。そう憶測するようになった。

その時は、いつ訪れるのか。そして遡上中の自然の変化に戸惑い、停泊させられてしまっている場所はどこなのか? 私たちのさすらいはそれを予測し、状況をこじつけながら釣りをやってみること。釣りをしていること。ロッドを振っていること。フライを流していること・・・。

昨年、遠藤昭弘氏(以下遠藤親父)と附田氏が、その日があることを実証してくれた。だから、今年もきっと必ずその瞬間はあって、きっと釣れる日は来ると期待し、その瞬間を待ち、釣りに出かけていた。

目覚め


週初め、季節は一季節飛び越えた好天の日となった、そして次の日は雨の嵐。大河は冬の眠りから覚めた。今年第一回目のダブダブのハイウォーターが訪れた。
River MO KAMUI に挑む。

「この水が引いた時、チャンスが来る。」そう思い、私は遠藤親父と週末の予定について話した。

釣りの前日の夕方、インターネットで明日釣りをやろうと思っているところの状況のデータをを検索した。国土交通省のHPで河の水位観測所の水位データを見た。案の定、今朝は昨日から訪れている寒気のために、水位はガタガタに下がり始めている。私の目指している数値まであと少しだ。

次に天気情報のHPを見た。最低気温は・・・、そして風は・・・。申し分ない。少なくとも明日午前中、水位は下がり続けると予想されるデータだ。ベストな状況はやって来る。あとはどこで釣るかだ。

遠藤親父に電話した。「遠藤さん、明日、行ぐべ。」「ンだが。」ふたりの行く河、地帯は決まっていた。「River MO KAMUI」その下流の広大な流れに挑む。

的中


釣り場に着くと、天気予報の情報とは裏腹にそこだけ風がかなりある。「くそっ。やはりここだけは例外か。結構風が強いじゃないか。」 とりあえず、寒さの中でウエーダーだけは履いた。寒さは上々、水位は順調に下がるだろうし、おそらくこんなもんで上等な水位なんじゃないか・・・。いつでも釣りができるようにした。
グレイイーグルとフレッシュランのサクラマス。

まだ寒いので、状況を見るためにゆっくり車で辺りを巡回し始めた。私が考えた釣り場の上限地点から下る事5~6キロ。1人の釣り人が目に入った。ルアーマンだ。後で聞いたら岩手県から来たとのことだった。

朝、辺りで釣りをしていたのは彼だけ。私がいいところをやっているなと思い、状況を聞くために向かったところ、既にその釣り人のロッドは曲がっていた。手馴れたロッドさばきで彼が釣り上げたのは、まばゆい美しさのフレッシュラン、チェリーサーモンだった。

「やっぱり。思った通り、今日魚は釣れた。魚は来ている。」私にも釣れるかも知れない。そして、私も釣りに集中し始めた。ルアーの釣り人に強烈に希望をもらった。

実感


彼が釣ったところより少し離れた場所。似たようなポイントがあった。通り過ぎようとしたが、なんとなく気になり、車をバックさせ、そそくさとロッドをつなぎポイントに立った。
分厚い「釣った」という充実感に包まれ・・。

3投目。ゴッゴッゴッ。「来た。」

疑う事はなかった。その引きは絶対だった。出し抜けに三度もジャンプした。完全にチェリーサーモンだ。「逃がしてなるものか。」

なんとなく少し小ぶりだと思った。元気はいい。ロッドは絞られる。ラインも送った。いいファイトに私はハラハラした。「バレるんじゃないか。」不意に脳裏によぎる不安な憶測。ハラハラする。「いや、バラさないぞ、幾度もの苦渋を飲んできた私。釣れるはずだ。」そう自分に言い聞かせた。魚はロッドを絞るだけになった。「アバレ」はおさまったようだ。無理せずに引き寄せた。ネットですくった。「やった。」

緊張の後、訪れた分厚い「釣った」という事実感が私の体を満たした。充実感。これほど分厚い釣りの充実感は今まで何度かあったか? うれしかった。そして、実は近くに来ていた遠藤親父を呼んだ。同じところで一時間後、親父も釣った。そして私が帰ってから、親父はもう1匹釣ったと電話で言ってきた。「おそろしい。親父の技。達人の技」

この日、大きな群れの尻尾を私たちは捕らえたんじゃないか。今年の遡上の大きな群れの存在は証明されたんじゃないか・・・。

--つづく--


そしてこの日の快挙は、猫田寅吉&遠藤親父ダブルフィニッシュ
クリークのオーナー遠藤親父とともに。
親父の釣ったサクラマス。


遠藤親父のサクラマス詳細。
魚種サクラマス Cherry Salmon
体長1匹目55cm、2匹目53cm
体重計測せず
フライアクアマリンスクイッド グリーンイーグルバージョン1-1/2"アルミチューブに#4トレブルフックをフックフリーフックシステムで使用
ロッドKS SS 1612D
リールKS SU SALMON I Millennium Blue
釣った日2004/03/20
釣った場所in the River MO KAMUI