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'04  5匹目はライフレコード サクラマス(コック・チェリーサーモン) 68cm,  3.4kg!
沢渡 郷 (さわたりごう) 青森県在住  Gou Sawatari in Aomori 【Japan】
フライフィッシング歴6年 / サクラマス歴3年
Gou Sawatari Cherry Salmon
うっすらと婚姻色を纏ったオスのサクラマス68cm。まさしく2尺オーバーのヤマメ。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species サクラマス(コック・チェリーサーモン) Cherry Salmon
体長 Length 68cm
体重 Weight 3.4kg
フライ Fly & Hook Size ブラックフェアリー on ミニ・ハイブリッド・チューブ + ST3 Tube Fly Treble #6
ロッド Rod KS SS 1712D
リール Reel KS SU SALMON II Silver
フライライン Fly Line DST-12-S Intermediate + Flat Beam Super Floating 35lb
釣った日 Date of Catch 2004/06
釣った場所 Place of Catch 秘密
IMPRESSIONS

5匹目

フライはブラックフェアリー・ミニハイブリッドチューブ + ST3 #6
その日は晴天になることを感じさせるような気持ちの良い早朝だった。クルマのトランクを開け、釣りの準備をしていると、何やら後ろに気配を感じた。振り返ってみると、ふさふさの金色の毛を生やした子犬のような動物が走り去っていくのが見えた。「なんだあれは?」狸のような顔つきだけれど、あんな色は見たことがない。アルビノなんだろうか・・。

支度を終え、川へ辿り着く。300mはあるランを、流れ込みから丁寧に探っていった。ブルブルというアタリで7寸ほどのヤマメがグリーンワスプに掛かった。釣り針を外しながらなにげなく川岸を見ると、そこには先程の金色の小動物が居て、こっちを見ていた。きっと魚が欲しいのだろう。と思いながらも、ヤマメは流れに戻してやった。するとその金狸もその場から立ち去ってしまった。

立ち込んでいる流れは腰まであり、慎重に釣り下りながら、その後は瀬尻まで何もないまま流し終わった。流れが広いのでもう1ラウンドやってみても良さそうに思えた。川原に上がり、朝日を浴びながら再び流れ込みまで戻った。気を取り直して流れにウェーディングシューズを差し入れる。膝下の流れはすぐに股下を超えた。手早くラインを引出して、先程と同じリズムで釣り下ると、小さなウグイが釣れた。

「そういえば金狸が現れたのもこの辺だったよな・・・。サクラマスの居場所を教えてくれてるのかな?」と思いながら、2度目のキャスト・アンド・ダウンの時だった。幅のある流心の表層を漂っているミニチューブに巻いたブラックフェアリーに、「コッ」という微かなアタリ。

「来た!」

すかさずロッドを止めて、生き物の息づかいをロッドの先端で感じようと集中した。魚に間違いないと確信したので、ロッドを下流側に倒してフライラインを流れに食わせるように送った。ラインが重くなり、魚は振り幅の大きい首振りを始めた。サクラマスに違いない。

さらにラインが下流に流されると、ラインの重みを嫌うかのように水面へ躍り出た。その直後、魚は下流に向かって一気に走った。50mは下ったと思う。何処まで走ったら止まるのか、不安になるほどだ。リールのスプールを押さえたいのを我慢する。これだけ長く走らせるのは初めての経験だった。今まで釣ったサクラマスとは違う。魚が止まったと同時に急いでリールを巻くが、半分ほど巻き上げると再び下流に走る。この繰り返しを3回か4回くらいやっただろうか。
鼻曲がりの精悍な横顔。

「今年最後のサクラマスかもしれない。せっかくだから引きを思う存分楽しんでおこう」と思った。不思議とバラす不安は感じていなかったのだ。しばらくしてラインのヘッド部分がトップガイドに入った。ようやく魚を確認して、一瞬目を疑った。水中を泳ぐ魚は明るい茶色だ。今まで釣ったサクラマスとは色合いが違う。

「えっ? ひょっとしてブラウン??」昨年仲間が釣った60cmのオスのブラウントラウトと同じような色合いだったのだ。少し拍子抜けしたが、大物には違いない。気が楽になったので思い切って寄せてみた。

自分の目の前5m程に近づいた時、ゴールドのマスが水面に躍り出た。どうも鼻曲がりのサクラマスのようだった。再び緊張が走る。「よっしゃー、夢だったオスのサクラマス! 絶対バラしてなるものか。気合い気合い!!」と念じつつ、慎重に寄せるが、寄ってきてからのファイトが凄まじい。

寄っては走られの繰り返し。体力が衰える気配がない。川原へズリ上げて取り込みたいところだが、生憎と岸は芦が生い茂り、腰近くまで水深がある。立ち込んだままのランディングしかない。魚のサイズからして多少不安もあるが、今日はウッドのランディングネットを背中に下げている。なんとかなるだろう。

頃合いを見てネットを背中から外す。更に気合いを入れて寄せに入る。ネット間際でかわされた。強烈なパワーで翻り、一瞬ひやりとさせられた。再び10m程距離が開く。魚にはまだ体力がありそうだが、早めに取り込んだ方がいいような気がした。動きが止まったと同時にもう一度チャレンジ。この時ほどSS1712Dのバットパワーが頼もしく思えたことはない。マスは一気にネットに滑り込んだ。リーダーの先端に結ばれた6番のフックは口の中にしっかりと収まっていた。

シャンパンロゼの婚姻色を身に纏った、ゴールドに輝くコック・チェリーサーモン68cm、3.4kg。一生の思い出となる記録魚だ。シャンパンロゼの魚体は神々しく輝いている。時間とともに、色が変わってしまったが、こんな美しい色合いは見たこともなかった。リバーサル4本とネガ2本分にこの魚を撮り収めた。

ひょっとして、あの金の子狸(その後調べたところ、アナグマの子供だったようです)が、ゴールドのマスを釣らせてくれたのだろうか。やはり神様の化身だったのかな。釣らせてくれてありがとう。こんなことなら、先に釣れたヤマメとウグイをあげれば良かった。


2004年サクラマスの記録


1匹目
流心で何の変化も起こらないままドリフト。手前岸の浅い流れにようやく漂っているローズマリーを「コン」というアタリでくわえた。58cm、2.05kg。シーズン初物で一安心。


2匹目
対岸沿いの流心で「コン、コン!」というはっきりしたアタリ。ハイブリッドチューブに巻いたピンクマラブーのオリジナルパターンで。58cm、2.15kg。幅広の魚体は引きが強くてパワフルだった。


3匹目
長い瀬の開きで「ドンッ!」という強いアタリ。一気に下流へ下った。フィッシングファイアー・ロングテールで。61cm、2.55kg。口先が尖って頭がデカイ。オスだろうか。だとすれば初めてのオス。嬉しい。


4匹目
やはり長い瀬の開きで「トン」というアタリ。ローズマリーを喉の奥まで呑み込んだ。58cm、2.10kg。シーズン4匹目ともなると気持ちに余裕が出来る。存分に走らせてファイトを楽しむ。