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'12  今年もガウラで悩みつつ・・ アトランティック・サーモン 56~90cm!
平野 秀輔 (ひらのしゅうすけ) 東京都在住  Shusuke Hirano in Tokyo 【Japan】
フライフィッシング歴29年 / サーモンフィッシング歴13年 / 元全日本キャスティングチャンピオン、ProShopSAWADA School Master
Shusuke Hirano Atlantic Salmon
下流のビートでがっちり仕留めたサーモン。珍しく、調査用のタグ付き。タグを確認してリリース。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species アトランティック・サーモン Atlantic Salmon
体長 Length 56~90cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size
ロッド Rod KS SW 1712H
リール Reel THE HONEYCOMB Salmon II Gold
SU Salmon II Burgundy
フライライン Fly Line DST-12-S Type IV〜Intermediate
釣った日 Date of Catch 2012/07/09~15
釣った場所 Place of Catch River Gaula Norway
IMPRESSIONS

出発が日曜日だというのに、

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不足しているフライを巻き、旅支度をし、車にすべての荷物を詰め込み終わったのが日曜日の午前5時。やれやれ何とか出かけられる。ここ三年間は海外釣行の前はいつもこうだ。成田~トロンハイム間は安堵感とワインに満たされてほとんど寝っぱなし。いくらでも眠れる。

今年のGaulaは魚が多いというが、雪も多かったという。ローウォーターまで水位が下がる前に高水温になると、遡上したサーモンがNFCの中心ビート付近で休まず、一気に上流まで遡上することがある。いわゆる「止まらない」という状態で、それは釣りには厄介だ。アムステルダムの空港でガウラの水量をチェックすると140トン。この状況ならサーモンはFossを超えるだろうが、水温が高いとやはり移動は早いだろう。

ストーレンに着いたのは現地時間の月曜日午前1時。野生のルピナスが満開で、季節が遅れていることを教えてくれる。ホテルのフロントでローテーションシートをもらいスケジュールを見ると、何と今日の8時からBorgen Sandraが入っている。Borgen SandraはNFCのビートでコンスタントに釣果を上げてきたBeatである。Bridge Poolよりさらに上流に位置し、さすがにサーモンもそこまで来ると疲れて休憩をするようだ。ただいつも常連の貸切状態になっていて、自分の行く週ではローテーションには入って来なかった。今年はたまたま貸切が入っていなかったので、初めてそこで釣りをすることができる。
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午前6時からTilsethで少し肩慣らしを済ませ、初めてのBorgen Sandraに向かう。パーキングから50mほど平坦な牧草地を歩き、ハットから川を見渡すと、Beatはまるで箱庭のようだ。プール全体の水は安定し、川底も平坦で釣り易い事この上ない。水温は10℃。フライの大きさに迷うが、まずは試しと、フライラインはタイプⅠ/Ⅱ、フライはエムシュリンプの#6を付けて釣り下る。

プールの中ほどに来た時に、今年初めてのサーモンのジャンプに遭遇。食い気がありそうな魚ではなかったが、取りあえず交差した。プール後半になると怪しい流れに差し掛かり、そこでまたサーモンがジャンプ。多分釣り方が合ってないのだろうと思い、ラインをタイプⅡに、フライをフィッシングファイアーの2inchに替えて、釣り続ける。
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ラインの動きが「ここからが最高」という感触を伝えてきた二投目に、あっさりリールが逆転した。しっかりとフッキングを済ませて、ファイトに入るが、竿を十分に曲げて引き寄せるとどんどん寄ってくる。そればかりかその反動でフラフラと上流に泳ぎ始める始末なので、こちらも上流に移動しながらランディング。やはり魚もここまで遡上してくると疲れているのだろう。87㎝6.7㎏を無事にランディングした。昨夜からかなり雨が降っており、この後川は増水してしまう。またさすがに旅の疲れは取った方が良いだろうからこれをキープし、その日はストップフィッシングとした。

それから翌日明け方まで水位は一気に上昇し、Fossの水位は220トンまで上昇した。こうなってくるとサーモンはFossを越えられないから、新しい魚はNFC中心部のBeatには来ていない。さてどうしたものかと思ったが、その日の6時~12時はFoss下流部のルンダモBeatがローテーションになっている。初めてだし、釣れる範囲が狭いと言われているがこの増水で海からサーモンはまた遡上しているはずなので、取りあえず出かけてみることにした。

プールに着くと上流部分は崖からの釣りとなり、オーバーヘッドキャストはできない。下流部分は川が開けてどのようなキャストもできる。川は黒く濁っているが増水はピークを越えて、水位は下がりつつある。魚が止まればチャンスだ。ラインはタイプⅣ、フライはこの水色で必ず使うフィッシングファイアー。ロッドは途中でオーバーヘッドに切り替わるのでSW1712Hを使い、上流部分はアンダーハンドキャストで釣り下る。
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しかし、この水位ではBeatの下限ぎりぎりが良さそうだ。オーバーヘッドキャストができるようになってからは慎重にゆっくりと釣り下り、もうこれ以上投げると次のビートに入ってしまうと思って投げたキャストで、ドスンという感触と共にリールが逆転した。

フッキングした時から大型魚じゃない事は分かっていたが、するするリールが巻けるときあれば、首を振ったり、止まるとやけに重くなったりで、上がってくるまでサイズの予想ができない。増水の濁った水から輝きながら上がってきたのは殆ど昨日釣ったサーモンと同サイズであった。

しかし、さすがにFossの下流で釣っただけあって銀色の魚体が美しい。90㎝あるのに何だかサクラマスを思い出させるようで、今まで釣ったサーモンの中で一番別嬪ではないだろうか。これならシーライスも付いているだろうと思って魚体をつぶさに見ると、背鰭の付け根に何やら見慣れない物体が二本立っている。そこには数字が。つまりこの魚体は過去に調査目的で捕獲されリリースされたもので、タグフィッシュと呼ばれるものだ。道下氏に手伝ってもらいNoが鮮明に映るように写真を撮り、そしてリリース。サーモンはまた濁流の中に帰って行った。
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と、ここまでは読み通りの展開であったが、この後はまた川の変化に振り回される始末。いったん増水が収まると今度は急に夏の太陽が顔をだし水温は14℃まで上昇。夜の釣にシフトしたが、何となく釣り方が合っていない気がした。いろいろ考えて違う釣り方を試してみようと思っていたら、週末は上流でかなりの雨が降ったのか、また大幅な増水。何とかグリーンワスプの#10とブラックフェアリーでグリルスを一本ずつ追加するが、大型魚とはまた遭遇できなかった。

今考えれば「ああすれば良かったと」思うことも多いが、例によって後の祭り。ただ、少しずつではあるが、サーモンに対する自分の引き出しが増えつつあるような気がしている。しかしそれを直ぐに試せないのが、日本に住んでいるハンディなのだろうか。年に一週間のサーモンフィシングでは、分かるようになるまで老人になってしまうのかも知れない。2週連続とか、年に複数回行けるようになる日が来るのは、いったいいつ?