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'13  釣れない年の嬉しい一匹! アトランティックサーモン 92cm,  8.4kg!
平野 秀輔 (ひらのしゅうすけ) 東京都在住  Shusuke Hirano in Tokyo 【Japan】
フライフィッシング歴30年 / サーモンフィッシング歴14年 / 元全日本キャスティングチャンピオン、ProShopSAWADA School Master
Shusuke Hirano Atlantic Salmon
悲惨なシーズンでしたが、作戦が奏功し、貴重な一匹をゲット。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species アトランティックサーモン Atlantic Salmon
体長 Length 92cm
体重 Weight 8.4kg
フライ Fly & Hook Size Fishing Fire on PT 2 inch with ST4 Wide Gape Treble #5
ロッド Rod KS SW 1712H
リール Reel THE HONEYCOMB Salmon II Gold
フライライン Fly Line DST-12-S Type Ⅲ
釣った日 Date of Catch 2012/07/14
釣った場所 Place of Catch River Gaula Norway
IMPRESSIONS

仕事の上に研究と論文が重なり、

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去年はとうとうモンゴルのタイメンも見送った。冷静に考えれば今年のガウラもお休みとなるが、そんなことではいけない。ダブルハンドを持ち、未だ見ぬ巨大魚を求めて川に入らなければ、自分の中の野生が消えてしまう。

例によってほとんど徹夜で用意をし、何とかKLMのシートに身を委ね、自分だけの大晦日としてシャンパンを飲むと、一年ぶりと言えるくらいの睡魔に襲われた。

今年のアトランティックサーモンフィッシングは最悪の年らしい。ノルウェーで会う人は全てSlowとか、Worstと言う。つまり魚は少ない。河原についてみるとガウラはかなりのローウォーターだ。おまけに今週は気温が異常に低い。朝は7℃、昼でも15℃未満の日々が続く。普段の7月ならゴアテックスのレインウェアは殆ど出番がないのに、ずっと着っぱなしだ。水温も12℃とそれほど高くない。

さてどうするか。魚が少ないからひたすら川に詰めても期待はできない。加えてこの鈍った体をフィッシングスタイルに戻すには3日はかかるだろう。そしてかなりのローウォーターだから、チャンスはやはり増水時だ。当然毎日釣りをするが、へとへとになるまではやらず、ここぞという時に機敏に動けるようにした方が得策だ。少しは経験ができてきたのだろうか。案の定、毎日見られるサーモンのジャンプは例年になく少ない。
trophy_2

そんな日々を送っていたが、なかなかチャンスが来ないでとうとう最終日になってしまった。敗色濃厚である。しかし、2日間にわたる雨で川は増水している。増水のピーク時、つまり減水に変わる時には、何が何でも川に居なければ。作戦通り、例年の最終日よりはるかに体力は温存できている。

まず、0時からのビートは下流のLundamo。昨年フレッシュを上げているプールで3回ほど流すがサーモンのジャンプさえ見えない。次の4時からのビートは今まで一番サーモンを釣っているRennaだ。しかし、Free for AllはLong Pool。どちらを選ぶか。Long Poolは今年のNFCではさほど釣れていないが、昨日まで見た限りはBest Poolだ。よし、まずLong Poolを釣り、気配がなければRennaに移ることにしよう。

Long Poolに着くと、川は理想的に増水していた。対岸際にFast Waterが走り、右岸側つまり手前に見事なすり鉢ができている。色は理想のコニャック色だ。数少ないサーモンが一瞬でも止まるとしたらこの深みの中心から後半だろう。かなり深そうなのでラインはタイプⅢ、リーダーは-8Xを8ftまで詰めてフライを結んだ。

「出た、Fishing Fire !」。同行していた野田拓男氏が叫ぶ。彼によれば平野と言えばFishing Fireらしい。この状況で自分が一番自信を持って使えるフライだし、良く使うから釣れるのかもしれないが、選択に何の迷いもない。

Fast Waterにフライをプレゼンテーションし、ロッドを上げてラインを慎重に送り込みながらステップダウンで沈ませる。その後すり鉢の中でアクションを加えてフライをスイングさせる。モンゴルでのタイメンフィッシングと同じ釣り方だが、この状況下においてはこの方法が自分の釣りとしては正しい。つまり迷いはない。
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5投目に怪しい流れに差し掛かり、7投目のスイングが手前側のかけ上がりに差し掛かった時にリールが逆転した。

何という幸運。この数少ない状況でサーモンが居てくれた。そこからは大変に偉そうにして申し訳なかったが、フッキングからファイティングの解説を野田氏にしながらのやり取りとなった。ジャンプした時に巨大魚じゃないのは分かったが、それにしても少々強い。尾を掴み、ランディングすると意外と太い。92㎝、8.4㎏。最悪のシーズンにはもったいない位の贈り物だ。

しかし、Slowなシーズンであることには変わりがない。NFCの週間トータルは10本。いやはや、なんとも、厳しい状況でありました。
釣った日の天候 Weather of the day: rainy
水温・水温の変化など Water Temperature: 12℃
水量・水量の変化など The Volume of Water: 80㎥/sec