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'14  会心の一匹です アトランティック・サーモン 90cm,  6.5kg!
野田 拓男 (のだたくお) 福島県在住  Takuo Noda in Fukushima 【Japan】
フライフィッシング歴15年 / 特別な大物歴: / ガウラ歴:3年、チャムサーモン歴:9年、本流ヤマメ歴:4年
Takuo Noda Atlantic Salmon
やっとこの手でランディングに成功。人生初のアトランティック・サーモン。美形の90cm。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species アトランティック・サーモン Atlantic Salmon
体長 Length 90cm
体重 Weight 6.5kg
フライ Fly & Hook Size Night Stingray on PT1-1/4in with ST4 Wide Gape Treble#6
ロッド Rod KS SW 1712H
リール Reel THE HONEYCOMB SALMON II Gold
フライライン Fly Line DST-12-S Intermediate + Flat Beam Super 50lb. Green + Salmon Tapered Leader -8X
釣った日 Date of Catch 2014/07/09
釣った場所 Place of Catch The River Gaula
IMPRESSIONS

今年のスケジュールは釣り優先のはずが(笑)、

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人生初のアトランティック・サーモン!
自分の非力さを検証してしまった2013年のガウラ釣行から瞬く間に1年が過ぎた。その間のオフは、またサワダ主催のスクールにてキャスティング調整とフライドレッシングを学ばせて頂き、「昨年よりは」良くなったフライフィッシャーマンとしてガウラに行った。

今回は飛行機の遅延も無くスムーズにトロンハイムに到着。レンタカーの乗り出し手続きも問題なく、出発するとルートE6が通行止め。こういう時、回り道を知らない場所では本当に困るものだが、用意しておいたiPadとグローバルナビアプリで問題解決。一気にNFCクラブハウスを目指す。走り慣れた道から見える風景に、それはそれは素敵なクラブハウスとロッジが!こんな素晴らしい施設を作ってくれたNFCの新しいオーナーには感謝せねばなるまい。

真夜中の到着なので、まずはリラックスにクラブハウスでビールを飲み、それから就寝。

翌日日曜は、お昼からタックルの準備とキャスティング調整に川へ。

狙いをつけていたビートは酷い渇水。この分だと、NFCの殆どのビートは釣りにならない状況だろうか。1週間の間に雨が来てほしいものだが、運を天に任せる前に、為すべきことを成さねばならない。

初日日曜の夜のローテーションから通しで翌日の昼までやってしまい、旅の疲れもありクタクタになり、とりあえず休憩をとるつもりがグッスリ寝てしまった。気が付けば真夜中の丑三つ時。部屋の窓から見える外の景色が何やら怪しい気配。ローテーションはブリッジプール。行くしかない。
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白夜の長い長い夕暮れ。

3時過ぎに到着し、そこそこ明るいのでインターミディエイトとローズマリーPT1-1/4inの組み合わせでスタートするも、サーモンパーのアタリだけ。まだ暗い部類に入るのだろうか?タイプ2を巻いておいたタックルにチェンジしフライはナイト・スティングレイPT1-1/4in。

数投の後、核心部を流すもアタリなし。しかし、ピックアップの態勢に入ろうとロッドをもつ右手をほんの少し挙げた瞬間に、「ドスン!」。プールのすり鉢の下流まで一気に走った。全くサーモンってやつはお気に入りのフライさえ流れてくれば、こうもアッサリと食うものなんだよな。でもラインの角度が悪そうだ、心配になりリールの逆転が停まるのを待ちながら、足場の良い岸まで歩いて下がった。走りが停まったことをじっくりと確認しフッキング。

ロッドを立てると力強く抵抗をみせるが、ロッドを上流に向けリールを巻けば、それなりに大人しく寄ってくることは沢田さんのサイトで確認済みだし、日本のサケでパーミングブレーキも散々練習済み。慎重に巻き上げこちらに寄ってくるが、魚体は見えない。ロッドを立てポンピングしてみると魚体が見えた。悪くないサイズだ。ミドルクラスの90cm前後だろうか。

去年のように、初心者にはデカ過ぎるサイズだと獲れないが、このサイズならピッタリだ。
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民家の庭先を見るのも楽しみの一つ。

一人であったため、ランディングは岸にずり上げると決め、詰めにかかると、岸際で最後の抵抗。もう少し疲れさせるため泳がせてやろうと気を許した瞬間、フライが宙を舞った。

一気に天国から地獄に落ちた。バレた数秒前の過去は変えようのない事実だが、この1年の準備が水の泡になった様な感覚にとらわれ全身に脱力感が走る。

だが、過去は変えられない。望み通りの未来を創るしかない。そのためには、今釣れたというこのタイミングを逃さないようにフライを投げ込み続けるしかない。天国から地獄へ、そして平常心へ。僅か数分で気持ちを切り替える修行なんてそうそう出来るものじゃない。

ガウラのサーモンフィッシングは人を育てる最高の遊びだとつくづく思う。

チャンスが来ていると確信できたので、その後のローテーションはぶっ続けで23時まで釣った。午前はラングワの様子を見に行き、数回のタームを終え休憩。すると突然の雨。期待が高まるがラングワの流速では魚の期待はできない。沢田さんからはホームプールも行ってみて、と言われていたし、道路わきから見る限り流速も良さそうだったので早速移動。

しかし、誰も居るはずのない見捨てられたホームプールへ行く道に真新しいタイヤの跡。まさか、誰かが居るとすれば、絶対に平野氏だろうなと思いながら向かうと・・・。しかも、さっきの雨のさなかにレジデントが食ってきたとの事、やっぱり。
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釣れそうでムンムンな夜明け。

その後、18時からの別のビートで合流した平野氏は、白夜に夕暮れが訪れる頃、ムンムン釣れそうな雰囲気の中、ご自身レコードフィッシュを見事キャッチ。私の頭の中は「自分」が釣れない口惜しさ20%と平野氏への称賛と感嘆80%で思考停止。

肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまったため、一旦ロッジに戻りベッドに横になる。ベッドで横たわっていても緊張で浅い眠りを寝ながら、深い眠りに寝落ちするという、この釣り特有の猛烈な睡魔に襲われる。

しかし、精神は摩耗しながらも機能を果たしているのか、ハッと目覚め、時計を見ると丑三つ時。しかし、過去に経験が無いくらいに猛烈に眠い。体も精神も過去にないくらい限界だが、この時刻を逃しては真夏のローウォーターは攻略できない。それに、昨日から自分にも平野氏にもチャンスは来た。今日もそのチャンスは続いている可能性はかなり高い。

寝たければ、プライムタイムを釣って2時間後に帰って来てからいくらでも寝ればいい、と心に決め、ふらふらと疲れた体を気力で車に押し込み、目指すビートへ向かった。ロッジから車と歩きで最も遠いビートだ。いい加減にどれほどの欲望の塊なのだろうかと我ながら思う。すべてはこの1年間の準備を実らせるため、そしてまだ見ぬ大魚を求めているからに他ならない。
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駐車場で出迎えてくれた牛たち。

さて案の定、そのビートは蚊が舞い(蚊が多い日は釣れるらしい)、川も生命感に溢れ釣れそうな雰囲気がムンムンしている。昨夜のブリッジプールより釣れそうな雰囲気が濃密。

タックルセットに迷いはない。サーモンⅡ・ハニカムゴールドにはインターミディエイトが巻かれ、リーダーの-8Xも新しいものに取り換え、フライは昨夜の誘惑者ナイト・スティングレイPT1-1/4in。

的確にシュートしステップダウン、しかし3投目!ラインが水面を叩いてしまった。これは不都合な事態だ。絶対に不都合きわまる。このままステップダウンするわけにはいかない。なぜなら、食い気のある魚が居れば絶対にここから5投以内に釣れるからだ。

今のキャストは間違いなくエサじゃないとサーモンに教えてしまった。どうする?このまま投げ続けたらきっと釣れないだろう。今のは対岸のバンクから落ちた石だとサーモン思ってもらう事にして、もう一度 最初の場所からやり直す方を選ぼう。

この緊張のお蔭で、次からのキャストは自分でも信じられないくらいに恐ろしく正確なキャストだった。対岸ギリギリにしかもベストな角度で投射されるライン(そうなるように設計されたロッドとラインなのですけどね・・・)。その中でも6投目か7投目だったろうか、こんなに一定の規則性と正確性の高いキャストは今までなく、理想的な角度で打ち込まれたフライが泳ぎだした瞬間。リールは逆転した。これは釣れるべくして釣ったという嬉しさがこみ上げるも、ランディング完了までは素直に喜べない。
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メスなのでリリース。

昨夜と同じにどんどん下る。逆転が止まるのを待つ間、またラインの角度が心配なので足場が安定した場所まで歩いて下り、リールが止まったところを待ちフッキング。ロッドに掛かる重さはミドルクラスのサーモン。良し!絶対に獲ってやる。

またしても一人であったため、ランディング方法もランディング位置も決めておいた。昨夜の失敗から迷いなく一発で岸にずり上げてやるだけだ。

ランディングポジションに誘導しながら、慎重にファイト。途中の鋭い走りもパーミングでかわす。遂に岸にずり上げランディング。水の中ではそれほど大きく見えなかったが、目の前のサーモンは意外と大きい。メジャーを当てると90cmジャスト。良く見るとフックは蝶番を捉えてる。あれだけ綺麗にキャストすれば、食い方も綺麗だという証明だろう。嬉しさがどんどん湧きあがり、一人で嬉しさを噛み締めていた。しかし釣った事の嬉しさよりも、アトランティック・サーモンのその圧倒的な美しさに見入ってしまった。

本当に何という美しさだろうか!こんな魚を創りたもうた、大自然と神々に感謝したくなる。
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使い慣れたスタンド&コンビニ。

嬉しさと美しさのあまり写真を撮りまくったが、やはりサーモンを抱いた写真が欲しい(笑)。ご就寝中か他のビートに居るであろう平野氏を生意気にも電話で呼び、平野氏も異常な速さで現場に現れてくれ、お蔭で素晴らしい記念写真を撮影して頂いた。

この時点でまだ水曜日、後半戦もハリキッて行くつもりでも、連日の猛暑。昼間はどうにもならないので夜~早朝を徹底的に釣る。

白夜の夕まずめは長く、十分にノルウェーの景色を堪能しながらのキャスティングは最高だ。時折疲れたらiPodで、沢田さんのCDやお気に入りのJAZZなどを聴きつつリラックス。本当に白夜のガウラの夕陽は素敵だ。惜しむらくは今年も魚は少ない感じだが、釣りの精度を上げれば釣れるのだから、ひたすら精進するしかない。

話は変わってしまうが、ガウラでの釣りは、私が全てにおいて超絶ヘタクソであることを気付かせてくれた。キャスティングもヘタ、フライドレッシングもヘタ、実釣もヘタ。何せ、日本で一生懸命に巻いたフライをBOXに夢いっぱいに詰めて、ノルウェーの素晴らしい景色に囲まれ、さあ釣ろう!という気持ちになり、いざBOXを開けてみると、たくさんの思いが詰まっているはずのフライがゴミに見えるのだ。自分が見てゴミに見えるフライでサーモンを魅了できるわけがない。これでは釣れるわけがない。

その時に初めて自己流から脱却したいと考えましたが、沢田さんはプロショップ・サワダにてキャスティングもフライドレッシングも素晴らしい講師陣を揃え、いつでも門を叩く者を受け入れる体制を作っておられました。
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本当に嬉しい!

少しづつでも精進する事の大切さに気付かせてもらえただけでも、このアトランティックサーモンフィッシングに取り組んだ甲斐は十二分にあります。それにこの3年、無駄とも言える膨大な時間を川で過ごしたことで、何が良いかはまでは分かってないが、何が要らないかは分かってきた。膨大な無駄は、良い物を知るために必要な過程だったのだと考えれば、微力は無力じゃないと思えます。

釣りの方は最終日までピーカン続きでナイトゲームに賭けていましたが、マズメ時にはグリルスも数本フッキング、1本キャッチ。土曜は少し増水してムービング中のサーモンの釣れないアタリを体験できるなど、今年も十二分に学び、そして楽しめた内容でした。

今年も気持ちよく送り出してくれた、妻と子供たちには感謝しなきゃです。

次の目標は、キャスト、ドレッシングにおいて安定的な力を発揮できるようになることと、メーターオーバー、10kgオーバーを獲ることです。

でも、今は素直にこの人生初のアトランティックサーモンを喜びたい!
釣った日の天候 Weather of the day: Sun&Warm
水温・水温の変化など Water Temperature: 18℃
水量・水量の変化など The Volume of Water: Eggafoss 8.9㎥/s
他に記録しておきたいことなど Other Records: Full of mosquitos