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'06  そしてシーズンのクライマックスは ブラウントラウト 70cm!
尾股 隆幸 (おまたたかゆき) 長野県在住  Takayuki Omata in Nagano 【Japan】
フライフィッシング歴12年 / サクラマス歴1年
Takayuki Omata Brown Trout
遂に念願の70cmをゲット。直前に釣れた46cmと一緒に記念撮影。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species ブラウントラウト Brown Trout
体長 Length 70cm
体重 Weight 計測せず
フライ Fly & Hook Size ブラックフェアリー on ダブルウォディントンシャンク35mm with ST1#4
ロッド Rod KS SS 1612D New Century Green
リール Reel KS SU Salmon II THE CHERRY SALMON
釣った日 Date of Catch 2006/09 早朝
釣った場所 Place of Catch 本流
IMPRESSIONS

もう何年も前だが、本流で釣ることを始めた最初の年に、

omata_brown
早速行きつけのショップに喜び勇んで報告すると、「あの川はこのショップのお客さんの中で一番下手くそな尾股さんでも釣れる場所です。あなたが長野で釣れない釣りをしている間に、他の人達はみんなエキスパートになって、シングルハンドを持って他県に遠征し、沢山釣っていますよ。」・・・そう云われたが、ビギナーの私が太刀打ちできる川ではないと思ったので、長野県内で頑張ることにした。

それから数年間は50cm以上のニジマスを毎年2、3匹辛うじて釣り上げるのが精一杯で、自分は何と釣りが下手なんだろうと悩み続けた。どうにかしてもっと上手になりたい。どんなフライを使って、どんな所に、どういう状態でフライを泳がせれば良いのか。自分で考えても、なかなか答えが見つからなかった。
笹濁りの水で、やはりブラックフェアリーは強かった。
自分の良く出掛ける川で開催されたオーナーズミーティングに参加した時、複雑な流れを物ともせずフライを正確に流す方法を目の当たりにして、一遍に目が覚めた。パワーウェットの腕前を上げれば、この川のポイントを余す所なく釣ることができる。今まで諦めていた流心や、その向こう側を釣ることもできる。

これまで多くの人から投げ方やフライのパターンを聞き、その度にあれこれ迷っていたが、本当に重要なのはそんなことではなく、魚の居る所にフライを綺麗に流せるかどうかだったのだ。

迷いが消えると、不思議なことに川の景色まで変わって見えた。流心の向こう側も、複雑な流れも自信を持って攻めることができるようになった。そして今年は64cmのブラウンを釣り上げることが出来た。

チャンスさえあればもっと釣れる。そんな自信が見えてきた時、台風が来てしまい、一ヶ月も濁りが取れなかった。このまま禁漁になってしまったらどうしよう。そんな焦りさえ感じるようになった。
SS1612Dを曲げたグッドファイターの70cmは迫力の体高のメス。
9月になって漸く水が引き始めた。私が川に行くことを友人に伝えると、「まだまだ水が多い。それに大水が続いたせいで魚はみんな流されているに違いないから行っても無駄だ。」と云われた。しかし私は魚さえ居れば何とかなると思っていたので、思い切って家を後にした。

川に着くと、果たして水は笹濁り。水位は平水より40cmほど高かった。川相もかなり変わっていたが、長い瀬の中に淀みを一カ所発見した。魚はあそこにきっといる。でもどうやって釣ろう。まともに投げたら強いドラッグが掛かってフライはポイントを素通りしてしまう。暫くポイントを眺めていて、私はオーナーズミーティングの時に見た縦ターンを想い出した。難しいけど、あの方法を使うには最高のポイントだ。

私はロッドにフラットビームを通すと、その先にインターミディエイトのラインをセットした。そしてフライボックスを開けると、濁りの中で目立つようにとボックスの中で一番大きい35mmのウォディントンに巻いたブラックフェアリーを結んだ。
そろそろ止めようかと思った時に釣れたオマケの54cmも一緒に。
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1投目、対岸の少し上流へシュートし、フライを沈めておいてからポイントで縦ターンさせた。すぐさま当たりがあり、46cmのブラウンが釣れた。普段なら50cm以下は直ぐにリリースするのだが、久しぶりの魚なのでゆっくり見ようと思い、河原に生け簀を作って活かしておいた。

その時間を置いたのが良かったのかも知れない。2投目も同じ場所で縦ターンさせたフライが引っ張られた。魚の感触から60cm以上のサイズと直ぐに知れた。

ファイトを続けていた時、私はグリップのいつもと少し違う所を持っていることに気が付いた。改めて見直すとロッド全体が大きく曲がっている。それを知って私は一瞬怯んだが、SS1612Dは世界記録を釣ったロッドだ。このくらいの魚に負ける筈がない。魚はきつい流れの中で暴れていたが、レクチャーで聞いた大物とのファイト法を想い出したおかげで落ち着いて対処でき、遂に70cmのブラウンをこの手に抱きしめることが出来た。

周囲に流されず、フライの流し方を追求してパワーウェットのテクニックを磨いてきたのが、実を結んだ年となった。これからも研究を続け、もっと難しいポイントを釣れるようになりたいと思う。