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'06  マイ★スペシャルイヤー Atlantic Salmon 93cm&80cm,  7.3kg&5.5kg!
関塚 哲也 (せきづかてつや) 栃木県在住  Tetsuya Sekizuka in Tochigi 【Japan】
フライフィッシング歴13年 / サクラマス歴10年 / サーモンフィッシング歴3年
Tetsuya Sekizuka Salmo Salar
待望の初日。93cm、7.3kgをランディング。気を良くしてNFCで記念撮影。
MY TROPHY | MY RECORD
魚種 Species Atlantic Salmon Salmo Salar
体長 Length 93cm&80cm
体重 Weight 7.3kg&5.5kg
フライ Fly & Hook Size スポテッド・ガウラパーソン・アトラクター 50mm with #6
グリーン・フォックス 1インチ with #10
ロッド Rod KS SS 1612D Limited Hard Action
KS AR Landlock
リール Reel KS SU Salmon II Silver
KS SU Salmon II The Cherry Salmon
フライライン Fly Line DST-12-I
DST-12-FI
釣った日 Date of Catch 2006/06
釣った場所 Place of Catch In the River Gaula, Norway
IMPRESSIONS

結婚1年を記念して、

2006年のWeek26はいつもの年と違った。ハネムーンフィッシングになってしまったからだ。前年の2005年の年末、プロショップサワダへあいさつを兼ねて、ガウラの申し込みと、結婚することを報告しに行った。そこで沢田さんから「一緒に連れて行けば?」と言われ、同行した彼女はすっかりその気になってしまう。

私は考えた。釣りをしない彼女を連れて行っていいのか。ノルウェーでもオスロやトロンハイムの街ならまだしも、釣り場以外なにも無い田舎のストーレンでいいのかと・・・。しかし彼女は「そんなに夢中になるほどの所なら行ってみたい!」とあっさり言うのだった。

私のような釣りキチガイの為に自身を犠牲にし、結婚を遅らせ、長い間付き合ってくれて。韓流好きな彼女を韓国にでも連れて行ければと思っていたのだが、最終的に私のガウラWeek26に同行する事となった。かくして1年前の3月16日、無事入籍をしたのだった。
トロンハイムへは何事もなく順調に着いた。相変わらずノルウェーは晴れている。E6をストーレンに向けてレンタカーを走らせる。いつも思うが、バイク好きの私にとっては、このE6はたまらない。草原の小高い丘の上を走り、そこからは入江が見え、海風がとても気持ち良さそうだ。いつかは、愛馬ハーレーで走ってみたいと思っている。

事前情報のおかげで、新しいスピードレーダーもパスし、ストーレンホテルに着いた。ガウラはすっかりクリアーウォーターになっている。しかし朝になって、かなりの雨が降り、6月の解禁日から初めて川に色がついた。またしてもこの私に、ビッグチャンスがやってきた。
sekizuka

初日のビートがイマイチだったので、フリーのホームプールの左岸に立った。案の定、同様なメンバーが数人いた。増水の川を見ながら彼等と話をすると、ガウラは雨がやむと急に水が減ると聞いた。このままだと、あと4時間で平水に向け減水するという。それならばと、次のニュープールに的をしぼり、早々に切り上げることにした。

ビートA1のニュープールはすっかり釣れそうな色に変わっている。これから晴れが続けば、またクリアーになっていくだろう。そう思いながらぶつかりのホンクリフに入る。対岸の大岩のあたりで何かが跳ねた。ヒラキを見ると5〜6キロくらいのサーモンが跳ねた。来ている。魚は動いていると思いながらキャストすると、コツコツと小さなテイクがあり、グーンとティップが入った。ゆっくり岸側にロッドを倒して戦闘モードに入ろうと思ったら、スーッと寄って来る。2キロくらいのグリルスだった。

妻はビデオカメラを持って走ってきたが、すぐにリリース。気を取り直し、試したかったフライをつけてプールのネック部分に立った。ロッドは1612D−H、シルバーのサーモンII、DSTのインターミディエイトにフローティングのフラットビームのセットだ。丁寧に釣り下り、怪しいワイヤーの下をフライが横切ったところで、ドボーン・・・!

直径3メートルくらいの渦ができた。その後にサーモンIIが鳴き、フラットビームは触ったら手が切れそうな勢いで出ていき、ヒラキまで一気に走った。プレッシャーをかけ続け、15分くらいファイトしてハンドランディングした。93cm、7.3キロ。少し痩せたオス。妻は大喜び。NFCロッジで記念撮影をした。
それからは太陽が照りつけ、とうとうクリアーウォーターに。グリルスは釣れるがサーモンが全然釣れない・・・。妻が飽きないように釣りとドライブと観光が続く。他のビートも釣れていないようだ。普通ならここで精神的に問題が出てくる。

古い言葉にも、「善からんは不思議 悪からんは一定とをもへ」とあるように、私は「サーモンフィッシングは良い日こそ不思議、釣れなくて当然」という気持ちでやっている。この釣りを日本に紹介し、日々挑戦し続けている開拓者であり、先駆者でもある沢田さんの記事や本を学べばわかるはずである。私は、沢田さんのこの釣りに対する思想や哲学を学び、器は違うが、少しは成長した。だから釣れなくても行き詰らないのだ。

そんな中、妻と街中を車で通るとスーパーから2人のイギリス人が出てきて声をかけてきた。どうやら、ロッドホルダーにサワダブランドのロッドを2本かけていたのでわかったらしい。NFCビートの人ではないが、そこで話がはずみ、これからバーベキューをやるからと妻と誘われ、OKした。

手ぶらではと、スーパーでフィレを買い、こんな事もあろうかと日本から持参したウイスキー山崎を持って伺った。会場に着くと、そこには、スウェーデン、イングランド、オランダ等と各国のフィッシャーマンいた。中には、有名なスペイキャスターの友人や、フライリールのエンジニアなどもいた。サワダブランドに興味のあるスウェーデンの人とは特に話しがはずみ、お互い釣りキチガイという事で楽しい交流も出来た。彼等とは、またガウラで会おうとかたい握手を交わし、再会を約束した。
帰り道、ストーレンは晴れていたが、上流に虹が見えた。フロセットのゲージは30を切っていたが、絶対にチャンスは来ると確信した。深夜、どうしても気になり、妻をホテルに残しジャンクションプールに行った。

中州がどんどん下に張り出し、NFCビートのポイントがなくなってしまうのでは?と心配しながら釣り下り、4,5投目の流芯で来た。またしてもグリルス、すぐさまリリースして釣りをするが、明け方近くなったので帰路についた。
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次の日、レイルウェイプールでストックされているサーモンが少し増水したので移動するのでは・・・と思い、その上のプール、ロングプールに張り付いた。ここには妻も同行した。フロセットのゲージは50。20センチ増水したが、すぐに減水するだろう。ロングプールでは、ネックとヒラキで明らかにサーモンが跳ねた。ローウォーター用に持ってきたランドロックとチェリーサーモンをセットし、すぐに入った。ラインはDSTのフローティングと、1インチのGreen Fox。富山の先輩に頂戴した天然のベアーを使ったフライだ。

すごい勢いでサーモンが遡上している。どれくらいフライを無視していっただろうか。まさに、ムービングフィッシュ。ヒラキに差し掛かり、ここからは流速が速くなるので釣り方を変える。真夏の小さな遡上魚の釣りで学んだ釣り方だ。そして、ラインのテンションがなくなるころ、それはゆっくりやってきた。待望のテイク。サイズはあまりないが、結構重い。ロッドがランドロックの為、非常にやりやすい。バットに加重をかけ、テールランド。80cm 5.5kgの太ったボニーサーモンだった。
結果として、このWeek26は5〜6キロのサーモンの多い週となった。妻と2人で川原で長い木の枝を探し、それにサーモンを吊るし、レールウェイを歩いて帰った。それを見ていたスコットランドの「ハーディーマン」がやってきて言った。「お前、新婚旅行だって? なんでハワイじゃないんだ? どうしてガウラなんだよ? しかも、しっかり釣りやがって!」とこんな感じで祝福されて、背中をでかい手で叩かれた。うれしいやら、痛いやら・・・!

かなり長くなってしまったが、本当に忘れられない新婚旅行になった。この釣りを紹介してくださった沢田夫妻、現地の情報をその都度教えてくださった青木夫妻、そして理解者である妻にこの場を借りて御礼申し上げます。

そして、毎年恒例となりつつあるBig−Tにも裏切られることなく結果を出せて、2006年を終了。次はどうしようか。あのマザーウォーターと呼ばれる琥珀色した川にしようか。それとも、広大な大地に流れる川にしようか。などと秘かに思っているが、それを妻は知らない・・・。

つづく!?