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-- FLY FISHER`S GREAT CONTRIBUTIONS

シーズン回顧録:黄昏の桂川で・・・・

孫悟空(SON-GO-KOO)
フライフィッシング歴24年

序文

トラウトのウエットフライフィッシングに没頭して数年が経過した。当初、わからないことばかりで随分と思い悩んだが、諦めないで続けたお陰で少しは魚が釣れるようになった。ウエットフライフィッシングはフライや釣り方が自由に選べる。これは適切な状況判断さえ下せれば、釣り場に出現するあらゆる状況に対処できる可能性を示唆している。

しかし季節の移り変わりやその日の天候や水況、更には釣り人の与えるプレッシャー等の影響を敏感に感じ取り、最適なフライとアプローチを選択し、魚を誘惑し続けることは決して容易なことではない。ウエットフライフィッシングは難しい釣りだ。でも一度でもその魔性の世界を体験すると決して手を引くことが出来ない釣りでもある。

私はこの釣りを始めた時、過去に行った様々な釣りの経験から、難しい釣りであればある程「唯のまぐれ」や「偶然」でも良いからとにかく出来るだけ早く魚を釣りたかった。魚が釣れればどんなに難しくとも釣りを続けていくエネルギーが生まれる。私は専門書を3回熟読し、後はひたすら川に通って「釣って釣って釣りまくる」ことを目指してきた。

深遠なる世界といわれる所以であろうか、私は毎年色々なことを発見し、また多くの挫折を味わい、失敗も数え切れないくらい経験した。今シーズンも例外なく山あり谷あり、波乱万丈で、時に門前の小僧に返り討ちに合い、ある時はプールの主と真剣勝負になった。まさに魚に鍛えられた半年間だった。本稿では「シーズン回顧録」と題して、今シーズンの桂川で直面した思い出深い経験や忘れがたい体験を季節のうつろいとともに振り返ってみようと思う。