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-- FLY FISHER`S GREAT CONTRIBUTIONS

暗闇の中で見つけた一筋の光明 I found a ray of light in the dark.

宮崎 恭一(Kyoichi Miyazaki)
2008 Grand Prix Winner of KS Fly Dressing Contest

始まりからほぼ10年

サーモンフライとの出会いは、マインドアングラーだった。その印象は強烈で、ページをめくるうちに私も巻きたい!という思いはいよいよ強くなり、とうとうサーモンフライのドレッシング法から学ぶことになった。

miyazaki

毎日のように巻き続け、やっと納得いくものが完成したのは1年後。98年の第6回コンテスト(マインドアングラー誌上)に応募したところ、最初の作品が佳作に選ばれた。

それからしばらくの間、私はサーモンフライの基本要件、・・ウイングはフック長より若干長め、ウイングの高さはフックベンド幅と同じ、タグはフックポイントの位置、ボディハックルはテール側からヘッド側に向けてテーパーになるように、スロートはフックベンド幅と同じくらい・・をベースにフライを巻き続け、コンテストにも応募し続けた。

やがてドレッシングの経験も積み重なり、作品はコンテストでいつも優秀作にランクされるようになった。しかし、それ以上、即ちグランプリを目指すということは、そうしたマニュアル頼みの発想ではなく、もっと創造的に作品を作り出すことだ。・・と感じるようになったのは当然の成り行きだったと思う。

もっと表現力に富んだ、独創的なフライを巻きたい・・。この方向に進むに当たって私は考えた。スタンダードなパターンを拡大解釈して、マテリアルの種類、色合い、フォルム等に独自のアレンジを加えることは出来るだろう。しかしこれではきっと行き詰まる・・。

次の第11回のコンテストで、SOARERというフライを応募した。このフライはとにかく難しい事を考えずに、自分の好きな色、マテリアルを使用し、思うがままに巻いてみたものだ。SOARERを巻いた時から、私に新たな試行錯誤が始まった。考え抜いた末、次は新しいフォルムを作ろう、というのが私のテーマになった。

そして一つのスタイル、Extended Wingを持つフライにたどり着いた。

第7回のコンペティションに応募したSweet Poisonをはじめとして、そのアイデア上でいくつかのフライを巻いてみた。しかしそれから5年間というもの、決定的にこれだ!というものは出来なかった。第15回のコンテストに至っては、理想とするExtended Wingを持つフライのフォルムを完全に見失い、何をすればよいのか、何をすれば良いフライが巻けるのか全くわからなくなった。

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そんな中で昨年、アイデアをつらつらと紙に書くうち、ふと、閃いた。上下にウイングを持つフライではなく、前後にウイングを持つフライを巻いたらどうだろう?

そうやって出来上がったのがBlue on blueの原型だった。これなら行けそうだという感触・・。そんな感触は私には初めての経験だった。そしてやっとフックをバイスに挟む時が来た。

スケッチを見ながらマテリアルを乗せていく。しかし、最初のフライで思い通り巻きあがることはほとんど無い。この時もそうだった。思った通りに巻けない、ダメだと思った。

しかし同時に改良すべき点がいくつか見え、そこに手応えを感じた。マテリアルを乗せる位置、マテリアル等を改良し、何回かの巻き直しの後、Blue on blueは完成した。

巻き終わり、自分でも驚くくらいに冷静にフライを見ることが出来た。初めてホッとした気持ちになれた。これでダメならしょうがない、そうも思った。

ほぼ10年かかって、私はグランプリを獲ることができた。長かったし、たくさん迷った。しかし、それだけの時間が掛かったからこそ、自分のフライに一つのスタイルを見出せたのだ、と今は思う。

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沢田賢一郎さんはフライを始めたときから今までずっと憧れの人である。サーモンフライの世界において、新しい方向性をいくつも持って、それを完成させているからだ。私も負けずに自分自身のフライの完成を目指して、一歩でも二歩でも近づきたいと思う。

毎年9月頃になると、それまでに書き溜めたフライのアイデアの断片を集め、構想を絵にして行く。この時から約3ヶ月間、辛くも濃密で楽しい時間が続くのだ。今年も苦悩の季節が確実にやってくる。しかし、今はそれも悪くないなと心から思っている。

最後に、見守り続けてくれた沢田さん夫妻、応援してくれている先輩達、いつも率直な批評をしてくれる友人達、そしてなにより応援してくれている妻に感謝したいと思う。