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TRAVELLER

スリルと感動のモンゴル

杉山 彰英

次回の目標は大型のタイメン

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ヘリが着陸してすぐ、キャンプスタッフ総勢の出迎えを受ける。
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今回参加したメンバー。
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モンゴル初の魚は65cmのアムールトラウト。トロフィーサイズにご機嫌!
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ローズマリー・ロングテールをくわえて上がってきたのは、コタイメンだった。
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ガイドの鉄人兄弟と。
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ウランバートルへの帰路、立ち寄った24時間営業のレストラン。通称「デニーズ」。
2004年、春。PROSHOP SAWADAで平野さんがカウンターに一枚の写真を置いた。そこにはアイナメのような体色をした良形のトラウトが写っていた。レノックであった。以前、北海道の下山巌さんから聞いてはいたが、写真で見たのは初めてだった。俄然、興味が沸いてきた。9月のスクールツアーは休日を多く含み、あとは火曜日の仕事のみがネックとなっていた。モンゴル熱はもう高まるばかりで、頭の中にはいつもタイメンとレノックが泳いでいた。その雰囲気は当然、周囲にも伝わり、ある日、突然、上司が「おまえ、モンゴルに行きたいか?」と聞いてきた。当然、「行きたいです!」と答えると、「火曜日は俺が行くから、モンゴルに行って来い。」と言ってくれた。感激であった。早速、沢田さんに参加の意向を伝え、準備に明け暮れた。SW1713L、SW9509L、Salmon II、Steelheaderを入手。キャスティング練習を繰り返し、夜にはタイメン用フライをひたすらタイイイングした。

9月17日 出発当日
11時30分、待ち合わせ場所に集合。しかし、雪のために、搭乗予定の飛行機がまだ来ていない。時間つぶしにビールとワインを飲みながら長い昼食をとる。搭乗1時間前にゲートに向かうと、飛行機が待機していた。思ったより大きな機体で一安心。ウランバートルが近づき、高度が下がってくると、白い地面が目に入った。雪だ。空港では通訳の3人が出迎えてくれた。市内のホテルまでバスで移動し、到着後は有志で夜のウランバートルに繰り出した。

9月18日 いよいよキャンプへ
ヘリが遅れたため、ウランバートル市内観光をしてから空港へ。ロシア製の軍用ヘリであろうオレンジ色のヘリコプターが待機していた。ヘリは初体験で、少々不安だったが、一旦、離陸すれば振動も少なく、騒音のために会話ができないことを除けば、いたって快適であった。2時間弱でオノン川が眼下に見えてきた。さらにキャンプに近づくと、大勢のスタッフが駆けつけて来るのが見えた。ゲルに荷物を運び、早速、釣りの準備をして川へ向かった。まずは沢田さんのデモンストレーションが行われ、その後、各自で釣りしたが、魚の気配は感じられなかった。雪で水温が急に下がり、活性が悪いようだ。キャンプでの食事は想像していたよりも美味しく、今回の旅でダイエットを企んだが、失敗に終わりそうだ。

9月19日 モンゴル初の魚
本日から本格的なモンゴルでの釣りが始まった。最初に2インチローズマリー・ロングテールを流したが、反応は乏しかった。まずは魚の姿が見たいため、オノン川でのキラーフライであるグリーンワスプ(1インチ)に替えたところ、アタリはあるもののフッキングしない。オノン川ではめずらしい、しっかりした瀬に移動し、タイプI/IIでメンディングを加え、やや沈ませながら釣り下った。何投目か、突然、大きなアタリがあり、フッキング。SW1713Lがしなった。65cmのアムールトラウトであった。アムールトラウトとしてはトロフィーサイズで、今回のツアー最初の魚を皆で喜び合った。まずはひと安心。昼食は草原でキッチン隊が調理してくれた。午後は三日月湖との合流ポイントに入り、沢田さんよりマンツーマンでコーチを受けた。小型ではあるがレノックをキャッチ。この日、モンゴル初の魚がトロフィーサイズのアムールトラウトであり、上々の滑り出して気を良くする。

9月20日 初タイメン
朝、巨大なプールに到着した。崖をつたいながら、対岸のポイントに移動。崖の上からは何匹かのタイメンが確認できたが、反応はなかった。午後、場所を移動し、夕方には三日月湖の合流ポイントに入れていただき、2インチのスティングレーロングテールを結び、何投かすると重いアタリがあり、フッキング。昨日のアムールトラウトほどのパワーはないものの、重い。赤いテールが見え、思わず「タイメン」と叫んだ。平野さんが駆けつけてくださり、アドバイスを受けながら、無事、浅場に寄せる。大きさは61cmと小型であったが、初のタイメンに感動した。これでモンゴルの3魚種を釣って、めでたくグランドスラムの達成となった。

9月21日 スリル
本日はモンゴルらしい青空で、実に気分が良い。遅くまで釣りをしていたので、キャンプへ戻る頃にはもう暗くなっていた。我々のプルゴンは、川を渡る直前にエンストを起こしていて、ちょっと不安を感じていたところ、案の定、川の真ん中でエンジンが止まってしまった。運転手が何度もセルを回すが、エンジンはかからない。しばらくすると床上に浸水してきた。どうなるかと思っていたら、もう一台のプルゴンがやってきて、ワイヤーで牽引して、無事、川を脱出することができた。モンゴルでは日常的茶飯事だそうだが、我ら日本人にとっては実にスリリングな出来事であった。

9月22日 最終日
いよいよ、最終日。午前中はシングルハンドの釣りを楽しむことにした。SW1713Lでは物足りなかったノレックのファイトが、SW9509Lでは十分にエキサイティングであった。昼、キャンプに戻り、ゲルでくつろいでいると歓声があがった。駆けつけてみると、長山さんが歴史的サイズのタイメンをあげたとのこと。ビールで乾杯し、喜びを分かち合った。午後、再びSW1713Lでチンギスハーン・プールに2インチのスティングレー・ロングテールを流した。三日月湖との合流点に差し掛かり、スイングが終わり、リトリーブするとフッキング。容易にラインを回収できたのでレノックかと思ったが、例の赤い尻鰭が見えてきた。 50cmの小(コ)タイメンではあったが、何とか2匹目のタイメンをキャッチすることができた。これで、今回の釣りは終わった。夕食時は、ガイドやキャンプのスタッフを交えて大いに盛り上がった。

おわりに
今回、小生にとっては初めての海外釣行だったが、すばらしいメンバーと共に、無事終了することができた。近年日本にも紹介されつつあるモンゴルの釣りだが、モンゴルでの釣りを成功させる秘訣は、まず良いツアーに参加すること。それに尽きると言えそうだ。小生も、今回出会えなかった大型のタイメンを目指して、このすばらしい川を再び訪れたいと考えている。