野生のモンゴル
沢田賢一郎
10月4日
オノン川に戻り、下流域を釣ることにした。先ずキャンプから2時間半走り、そこからキャンプ地に向かって釣り上がることになった。
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オノン川下流部。浅いが川幅が80m以上にもなる。
天気は相変わらず雲一つ無い快晴。湿度が無く気持ち良い。下流域はさすがに川幅が広く、周囲も開けていた。12時頃、二つ目のポイントに着いた。そこは手前側の傾斜がきつく、川岸には谷地坊主が密生していた。川幅が広い所で80m程あったが全体に浅く、中央から手前側にかけて、所々に2m近い水深の場所が広がっていた。
私は岸から2mばかり水に入り、ダウン&アクロスにフライを投げていった。あまりにも明るいので、選んだフライはまたもやローズマリーのロングテール。岸沿いに密生した谷地坊主のせいで投げづらかったが、幸いにも心地良い追い風が吹いていたため、斜め下流に45m近く投げながら下った。
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フッキングしたタイメンが足下で最後の抵抗を試みる。
スタート地点から100m近く下った辺りで岸の傾斜がきつくなってきた。もう20mも下れば水際を歩けなくなると言う所で、タイプ2のラインがドスンと押さえ込まれた。直ぐにタイメンだと判った。これまでで最も重い引きだ。久しぶりにリールから軽やかな逆転音が響いた。身体が柔らかいので計りづらかったが、体長は87cmだった。
凡そ2km上った所に、一見して絶好のポイントがあった。三日月湖のように分流した流れが合わさる地点で、川幅が絞られ溝が走っていた。私は膝まで瀬の中に入ると、対岸に流れ込んで来ている分流にフライを落とした。
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すっかり大人しくなったタイメン。
フライが水面に着くと同時に水柱が立った。何が起きたのか、私は一瞬判断に苦しんだ。それも束の間、ラインが下流に勢いよく走って行った。着水と同時にフライを捕らえたのは56cmのアムールトラウトだった。それを片付けたと思ったら、直ぐ下流でまた同じことが起こった。本当にこの魚は元気が良い。
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細く柔らかいので,掴み所がない。
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真っ昼間、この明るさでもフライに襲いかかる。
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針を外すため、岸に上がる。
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酸欠に強いせいか、暴れることが少ない。
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歯が鋭いので、針を外すときは最新の注意が必要。
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56cmのアムールトラウト。とにかく元気な魚だ。
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オノン川の夕暮れ。
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何処にいても、イブニングライズに心ときめく。
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到着した日が嘘のように、すっかり雪の消えたオノン川。