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TRAVELLER

野生のモンゴル

沢田賢一郎

ユリュウ川

10月6日、朝6時、凡そ300km北を目指して出発した。先ず舗装された国道を約200km走った。交通量が少なく3時間足らずで走破。残りは100kmだから、道路が舗装されていなくても昼前に着くだろうと思った。ところが距離から時間が割り出せないのがモンゴルだ。想像を絶する悪路に阻まれ、何と6時間以上も掛かってしまった。
テント前からプールの流れ込みを見渡す。美しい流れだ。

ユリュウ川にはキャンプ場がないため、テントで寝泊まりする。初日は時間が無かったので、取り敢えずそのテントの前を釣ってみることにした。

数日前に降った雪のため、ユリュウ川の水位は平水より20cm高く、オノン川の下流と同じくらいの水量があった。オノンやバルジと違っていたのは、石が大きいことで、それが川相をずっと変化に富んだものにしていた。またオノン川流域よりも海抜が高いせいか、周囲の様子も違っていた。白樺の多い森はロシアのコーラ半島のようだし、草の少ない川岸はカナダのトンプソン川に似て、砂漠のようであった。

テントの前は速い瀬と、それに続く浅くて長いプールが続いていた。一回だけ丁寧に流してみたが、30〜45cm程度のレノックが数匹釣れただけだった。